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MAD MAX FURY ROADの字幕について

何度も観ているので思いついた端から足していきます。

ダメなところ

War Rigをウォータンクと謎の変換をしている

ウォーリグでいい。確かにrigなんて単語馴染みがなくて、おれも使ったことないけど、これはホワイトベースみたいなもんで、そういう名前なんだから。

あと、ジョーがイボイボということを考えると、レミーリスペクトなんじゃないかとも思ってて、だとすると、War RigはWar Pigのオマージュなのではないだろうか。パロディTシャツのジョーバージョンはおもくそモーターヘッドだったしな。

まあ、これは深読みがすぎるけど。

Valhallaをいちいち何か意訳する

北欧信仰の正しい内容は知らないけど、多分そんな単語の認識欧米人も変わらないし、特にこの映画ではジョーの勝手な解釈なわけです。意味のわからない宗教観みたいなものを演出する上でもそういう単語はそのまんま出した方がよかったのではないかと思いますよ。

例えは悪いけど、オウムのポアとかなんかすごく不気味で怖かったでしょ?

特にスリットが死ぬところなんかヴァルハラアアアアアアアアアアアアアア!!!!って叫んでるだけなんだからそれでいいんです。意味わかんなくていいんです。

Valhalla - Wikipedia, the free encyclopedia

Angharadと呼ばれているところを全部「スプレンディド」にしている

徹頭徹尾、彼女をSplendidと呼ぶのはジョーだけです。仲間はみんなAngharadと呼んでいる。これはわからないけど、多分Splendidってのはなんというか記号、悪く言えば囚人番号みたいなものなのでしょう。FragileもCheedoって呼ばれていて、一度もFragileとは言われていない。CapableもToastもDagも仲間が呼び合うなかでは一切出てこない。つまりそこには意味がある。

で、そのSplendid Angharadという名前はジョーが言っているので、セリフごとに使い分けても客はわかるはずなのです。日本語でも、下の名前で呼ぶ人とそうでない人で距離感は違って見えるでしょう?それを統一するのはわかりやすくするといえば聞こえはいいけど、ちょっと客をバカにした行為なのではないかしら。もっと信じて!

「you done this before?」の解釈

マックスのこのセリフ、字幕ではthisを逃亡と書いているのだけど、それに対するフュリオサの答えは「many times」で、何度も逃亡を試みた、ということになっている。そんなやつ将軍にするかー?

前日譚のあらすじを読んだ限りでは、ワイブスの護衛に任命され、日々を過ごす中で彼女らの境遇に同情し、共に緑の地を目指す、とあるので、映画の部分は乾坤一擲の大勝負なんじゃないかねえ。おれはこれは単純に間違いだと思う。

じゃあ何かというと、「I was taken as a child. Stolen.」に対するthisなのだから、take、もしくはsteal、つまり誘拐のことじゃないかしら。自分がやられたことをやってきた。そしてそれをよく思っていない。だから「redemption」として、ワイブスを開放するのではないかなあ。その方がセリフに筋が通ると思う。

ださいルビ

「you’ll go insane」というマックスのセリフに「狂気」と書くのはいいけど、そこにMADってルビを振るのはうわああああっていうぐらいクソダサいです。何考えてるんですか。

いいところも

悪いところばっかりでもないということで。

敵幹部の名前

Bullet Farmerを武器将軍というのは訳としてはむちゃくちゃだけど、世界観としてはいいと思います。People Eaterもどこに男爵が入っているのかとつっこめばつっこめるけど、そういう中二的なカッコよさはこの映画の大事なところです。

だから、逆にそれを活かさない部分が多いことが不満になるのだけどね。

Mediocre

これ、顔に矢くらったウォーボーイが特攻した後周りが叫ぶのと、自分から提案して勇ましくWar Rigに乗り込んでいったのにあっさりこけて失敗したニュークスにジョーがバカにして言うのの二回あるんだけど、ジョーが言う方がそのまんまの意味だと思う。

そこで難しいのが一回目の訳。関西人が「アホ」というのに賞賛のニュアンスを込めているのと同じ感じかと思うのだけど、それは訳すのが非常に難しい。そこで「よく死んだ!」と「よく」を付けることで、バカなことなのに、その世界では褒められることなんだとニュアンスを上手く表現できている名訳だと思う。

そもそも

日本映画界、日本人の英語力なめすぎだよ。いや、もちろん全然わかりませんっていう人もいるだろうし、欧米でも、このマッドマックスやらバットマンやらも、考えてることはありつつも、ガハハハかっけえってだけ楽しみたい層のニーズにも応えなければいけない面があるなど、受け取る側のリテラシーに幅を持たせて対応していく必要があるのはわかっている。だけど、例えばFury Roadをデスロードってそれ必要かー?デスロードってあまりにもバカっぽくね?Furyとフュリオサがかかっていることは明らかで、それを犠牲にしてまでやらなきゃいけないこと?

これじゃないけど、Inside Outをインサイドヘッドにしてるの、うまいこと言ったつもりなのかもしれないけど、こう、頭の中を覗きこむというのではなく、逆に表に出すというニュアンスなのだと思うのですよ。で、そういう感じを表現するのに英語人は”inside out”、裏っ返しっていうイディオムを使うのだと、本来学ぶことができる機会であって、辞書だとなかなか伝えられない部分なんだよね。そして、それがどうしても客に受入れられないと思うのであっても、例えば”inside of a(the,her) head"とかじゃないと間違いとは言えなくても気持ち悪くね?

日本人英語力が低いっていう批判はよくあって、おれは思うんだけど、そもそも単語とか文法は中高でやるんだから、少なくとも進学を視野に入れる高校まで進んでりゃ、英語がそこまでできないってのはやる気の問題が大きいのはもちろんだけど、空気感がまるでわからない、おかしな表現に違和を感じられないってのが根本だと思うのよね。で、わかんないだろうって、ニュアンスを殺そうが、なんなら英語としておかしくなろうが、簡単にすることで、さらに日本人の英語力、空気を感じる力は落ちる、伸びないのではないでしょうかね。

言葉は悪いけど、バカに合わせてインテリ層の啓蒙を損なうという、結局のところ、最終的には得をしないようなことだと思うのだけど、まあ、短期的な数字が欲しいのも理解できないではないので、ただ悲しいなという結びにします。

追記

INSIDE OUT観てきました。ネタバレるけど、いうても誰でも予想するであろうということで書きますが、JOYはSADNESSの裏返しって意味の方が強そうなので、なおのこと変えない方が良かったでしょうね。