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はじめての歌舞伎

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一度観てみたいとは思っていたけど、予感として本当に一度になる気がしていて、ならこれ観ておけっていうド定番にしておきたいなとずるずるここまできたのをついに。

おれもよくわかってないのだけど、同じようにちょっとは興味あるぐらいの方へのガイドにもなればと、初歩的と思われることから書きます。わかっている方が書くより役に立つことももしかしたらあるかもと期待します。

スターでド定番といえばこれでしょうの市川海老蔵助六

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/513

双蝶々曲輪日記引窓 4:30-5:39
幕間 15分
けいせい浜真砂女五右衛門 5:54-6:04
幕間 30分
歌舞伎十八番の内助六由縁江戸桜 6:34-8:38

 毎度そうとは限らないのかもですけど、上記にあるように3部構成でした。それも中(1時間)、短(10分)、長(2時間)と長さがバラバラ。短が終わったところで長めの休憩があるのでそこでみなさんお弁当をいただきます。劇場でもホットドッグレベルの軽食は買えるし、豪華なお弁当を予約しておくこともできます。おれはデパ地下でちょっといいお弁当を買って持っていきました。

ちなみに、奮発して一等席18kを買ったのですけど、当券なら4kとかで買えるようです。どんな席かはわからなかったけれど、正直一等席の満足度はかなり低かったので、舞台そのものに興味があればそういう方法をオススメします。ただ、助六ぐらいの人気舞台だとかなり早く並ばないといけないと思いますが。

入場したらパンフ(失念したけど1300円だったかな?そのぐらい)と、音声ガイドのレンタルをします(レンタル料1000円とデポジット1000円)。これらはもちろんなくてもいいんだけど、オススメします。

余裕をもって入って、パンフを流し読みします。誰が出るのかと、大筋は把握しておいた方が楽しめます。特に筋は観ててもまったくわかりません。セリフは、言葉はまあわかるにしても、音響問題もあって明瞭とは言えず、役者によっては聞こえません。予習なしで挑むのは無謀です。

音声ガイドも聴きます。始まる前からその日の見どころなど、いろいろ話してくれてます。一人で行くならずっと聴いているといいと思います。そして、これは途中でも流れています。これは話者のテクニックなので合う合わない当たりハズレはあると思いますけど、わかりにくいところで解説してくれたり、なんならネタバレかましてくれたり(予習を勧めるだけあってそれが邪魔になる性質のコンテンツじゃありません)、初心者フレンドリーです。

予習が終わったら館内をうろつくのも楽しいです。売店が充実してます。おみやげ屋さんが数軒あり、くず餅の試食などもできますし、扇子やブロマイドといった物販もかなりのものです。

席は狭いです。18kも払ったのにこれ?って感じで、前も横も余裕がない。おれは駅のコインロッカーにお弁当と手荷物以外預けましたが、正解だったと思います。コートはしょうがないので、お弁当を開くのに難儀します。

あと、女性トイレは、なんでもあるあるですけど混みます。

トータルとしての感想としては、舞台や衣装にお金がかかっていて、ホスピタリティも高い。ひととき特別な空間を味わうもの、でしょうか。

時代なんでしょうけど(助六の初めに古いものだから鷹揚にお願いしますという口上すらある)、話の納得感はもう全然ありません。バカとか差別主義者とかサイコパスがこれでもかってぐらい出てきます。そういう、普通の舞台に望むようなことは諦めましょう。派手できれいなものをみるものです。お話など飾りです。えらい人にはわからんのですよ。

そういう意味では楽しかったです。特に市川海老蔵はなるほど人気者だわなあというカッコよさ。姿がいい。

当初の予想通り、やっぱり一回で満足なので、おそらくもう行くことはないと思いますけど、ハマる人がハマるのはわかります。

次からはそれぞれの幕の感想なので、ガイド的なものとしてはもう読まなくて大丈夫です。

引窓

設定が相当にややこしいのだけどがんばって解説します。まず宿を経営している老婆とお嫁さんがいて、老婆とお嫁さんの夫は血のつながりがありません。老婆の再婚相手(既に死別)の連れ子が夫です。その三者の関係は大変良好です。そこに、老婆の実の子(相撲取り)が殺人を犯して逃げてきます。老婆はそれをとりあえず匿います。お嫁さんは老婆のことが好きなので協力します。すると、タイミングよくか悪くか、夫が新規に郷代官(雑にいえば警察)に任命されて帰宅します。初任務は相撲取りの確保です。夫は老婆に恩返しがしたいので、出世のためにちょうやる気。

ここまでが設定だけど、これをあの不明瞭な発生、音響の中セリフと動きだけで把握するのは多分誰にもかなり難しいことです。知っていることが前提です。

お話はその後、出世は孝行だけど、(義)母の実の子を縄にかけるのは不孝という板挟み。逆に老婆は実の子はもちろん可愛いけれど、郷代官だって義理とはいえ大事な息子で愛情があり、迷惑をかけたくない。それを見てこの人たちの愛情に心を打たれ、自分が捕まって死罪になればいいと自首したがる相撲取りという葛藤が続きます。知ってればなかなかおもしろい筋ではあるのだけど、まあ観てるだけじゃわかりません。

タイトルに引窓とあるのが肝で、要は天井にある窓で、それの開閉で明かりをコントロールするもの。話の筋としてはこの明るさであったりが大事なのだけど、照明は一切変わりません。さらに、二階に隠れている相撲取りの姿が庭の手水鉢の水に移ることで郷代官は事情を察するということなのだけど、わかるかい!!演出としてわかりにくいし、お前察しよすぎるだろ、ってのが受け入れがたい。ここも音声ガイドが教えてくれるからわかることです。よってちょう大事です。

そもそも、ながーいお話の一幕だけをやるオムニバスって感じの興行形式なので、かなりのリテラシーが求められるのでしょう。

なお、郷代官は松本幸四郎でした。豪華ですね。嬉しかったです。けど、初々しさが欠片もありません。というか貫禄がありました。そんな新人いねえよ。

けいせい浜真砂

石川五右衛門が実は女性でけいせい(遊女)、しかも武智光秀(みなまでいうなのテイでしょうね)の娘。彼女は敵である真柴久吉(いうなったらのテイでしょうね)の息子に恋している。そこに巡礼者として久吉が通りかかって(はあ?)歌を詠み合う(ええ?)。これだけの約10分。五右衛門の立っているところと衣装がど派手で、90%それを見せるためだけの一幕。

このぼくのかんがえた感、艦これだのなんだのをバカにできるものではなく、ああ、昔からそうなんだなあと嬉しくなります。

しかし、この五右衛門を演じるのが四代目坂田藤十郎、御年85歳。どう贔屓目にいってもおばあちゃんです。正直おばあちゃんも無理。普通におじいちゃん。これはさすがに初心者にはしんどい。これで自分を騙せるかどうかってのはすごく大きな分かれ目だと思います。おれは無理だった。

助六

おれでも知ってるぐらいのスーパーメジャータイトル。四季ならキャッツとかオペラ座の怪人とかそういうんでしょう。

先に書いたように海老蔵助六がすごくカッコいいです。あと、揚巻(ヒロイン)、意休(ライバル)の3人が揃って見栄を切るところも、コントっぽくて笑っちゃいもするけど、確かに決まります。

だけど、これはマジでそれだけというか、全体的にあまりにもたるい。助六が出てくるまで4,50分あるんですけど、そこまではひたすらに各々の登場シーンを長々やります。音声ガイド聴いても、衣装の見事さとかが見どころのようです。そりゃ最初はすげえってなるけど、ひたすらそれなので眠いです。ちょっと落ちました。衣装のよさみたいなのって、その前のけいせい浜真砂で軽くお腹いっぱいなんですよね。満足してる。それを5倍近くかけてやられると。

助六が出てからは多少話があります。が、もうなにいってんだか、なにがしたいんだかわかりません。全員あたまおかしい。美麗なたけしの挑戦状とでもいいましょうか。理不尽極まりない。そういうこと以外でも例えば、田舎から出てきた侍をまったくなんの意味もなく侮辱して笑いにするところがあるのだけど、なんでこれ笑えるの?ってなります。

話の肝を思いっきり雑にいえば、助六は意休っていう人にどうにかして刀を抜かせたいというものです。これが当然にめっちゃ抜かないんですけど、最終的に抜くところの意味がまたまったくわからない。なんでそこまで耐えてたのにそんなことで?ってなります

そもそも、歌舞伎ファンにはすみませんで書きますと、助六忠臣蔵と並ぶ三大仇討ちのひとつ曾我兄弟の仇討ちがベースで、鎌倉時代の話です。それが江戸の話になっている(ますよね?)のに整合を取ろうという気がまったく見えない(すみませんがこれ以上は調べません)。やはりけいせい浜真砂と同様、ぼくのかんがえたさいきょうのをもとに、いかに人や衣装、舞台を美麗に見せるかだけに絞った芸能なのかと思います。

それはそれでいいと思いますが、ここまでぶっちぎりに筋を捨てられると、おれは厳しかったです。引窓は全然わかるので、演目によるとは思いながらも、じゃあその人や衣装がそこまで魅力的かというと。だって普通におじいちゃんだし。

繰り返しますが、市川海老蔵はすごくカッコよかったです。スターが、まだああ漲ってる感じのときに見る分にはすごくよくわかります。

最後に、古典芸能がいかに現代に生き残るかって話として、びっみょーに時事ネタ入れてきます。これはいいのか悪いのかおれには判断つきませんでした。