KARCHER高圧洗浄機

 この年の瀬になにを今更っつう話ですけど、これ買った方がいいですよ。一番安いやつだけど十分。ガラス戸の掃除に毎年何時間も使っていたのがあほらしくなるぐらい一瞬で終わりますから。作業時間はベランダ、ガラス戸、ガラス(いずれも網戸有り)、外壁、室外機で30分は使っていません。それでいて圧倒的に、完璧にきれい。

作業時間はってところが肝で、電源を引っ張らないといけないことと、ホースがそれなりがっちりしているので、部屋の作りによっては結構移動が大変です。水も水道からもとれるけど、うちはバケツからにしたんで、割と短時間で使い尽くすそれの補充がちょい大変でした。

つうかですね、単純にめちゃくちゃ楽しいです。

 

2017年振り返り

今年よかったアルバムのまとめ

1位:Prophets Of Rage/Prophets Of Rage

バンド名は冗談みたいだけど内容は大マジで、RATMのグルーヴそのままに乗っかるラップが変わっただけ。それも凡百のラッパーならザックが恋しくなろうってもんだけど、レジェンド級が二人。これ、センもいたら声質が低中高と揃うしよりよかったろうになー。
プロフェッツ・オブ・レイジ

プロフェッツ・オブ・レイジ

  • アーティスト: プロフェッツ・オブ・レイジ,トム・モレロ,ティム・コマフォード,ブラッド・ウィルク,カールトン・ライデンハワー,ルイ・フリーズ
  • 出版社/メーカー: Hostess Entertainment
  • 発売日: 2017/09/15
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る
 

 

2位:ダンサブル/Rhymester

これが出たら入るのはまあ当然だけど、そういう決まりごとってわけでもなくやっぱり最上に素晴らしい。全10曲のコンパクトさにあって、5点満点で5でなく4をつけたのがフューチャーと細道という、シングル、MV曲だけ。それも相対的にって話で、単独としては5ですし。ひたすらにキャッチーでグルーヴィー。梯子酒を作れるのはここだけでしょう。
ダンサブル(初回限定盤A)(Blu-ray Disc付)

ダンサブル(初回限定盤A)(Blu-ray Disc付)

 

 

3位:KICK!/Kick The Can Crew

お待ちかねの復活作。こちらも全10曲捨て曲なしのキック節全開。千%のバッカゲン感とか、計算もさすがで、年が年ならナンバーワン級。
KICK! (初回限定盤)

KICK! (初回限定盤)

 

 

4位:CRACKLACK/Scoobie Do

まず、先行の”Ensemble”と”Cold Dancer”のキラーチューンっぷりがヤバイ。才能とパフォーマンスのポテンシャルが爆発している。なんとこれも全10曲で捨て曲なし。
CRACKLACK

CRACKLACK

 

 

5位:花水木/GADORO

四畳半の方で当落線上だったのが、この短期間で出た2ndでランクイン。”背中”にガチで天才を感じた。引用しよう。
 
あんたの腹から 俺が生まれたっていうことはおそらく何億分の一かのはずれくじだ そのくじはもう二度と回せないと知りながら当たりだと信じ俺を養ってくれた
 
仇すらも恩で返すぶっ飛んだ優しさ突き放し罵声を投げかけた骨の髄までしゃぶりついた母の脛 平凡な人生それがあなたの夢
 
なんかありゃ察する不可解なテレパシー 親父を黙らせる生粋のバトルMC
 
あと金返してくれ 楽にはさせねえ元気でいてくれ
 
というかほぼ全部がすごい。初手で泣いてしまった。マジかマジなのか。表現としては小説だけど、押韻がなされていて、これは歌だ。日本語ラップのアートフォームとしての可能性がまだまだあるのだと叩きつけた。
KOKを制したバトルマスターが音源でここまでのレベルとは。TBHにすら劣らない凄み。最上位のトラックメイカーであるPMXが、同郷のよしみなのか全面的に参加しているのもこれを名盤化させた。

 

花水木

花水木

 

 

6位:ROLL ON 48/フラワーカンパニーズ

ライブハウス限定の先行シングル”あまくない”が中年に刺さりすぎる。
夢見て夢に汚れ いつか歌も消えて 舌に苦味が少しだけ残るよ 明日は黙ったまま 呼んでも呼んでも わめくぞ 届いてなくても
曲もすげえがなんだこの歌詞は。ちょっとそこらのラッパー直視できる?圭介(フラカン)だからこそ歌える曲だけど、自己表現として最上だと思う。
やはり捨て曲なし。涙こらえて真顔じゃ聴けない。

 

ROLL ON 48

ROLL ON 48

 

  

7位:FUTURE!/筋肉少女帯

いつも通りでないところに、オーケンの曲がない(まさか”オーケントレイン”も違うとは)。ということで4人作家の凄さってのはちょい落ちるんだけど、その分というかうっちーがすごい。歴史的大名曲”エニグマ”を聴いてください。おそらく世界中のどのバンドでもこれは作れない。筋肉少女帯そのものだ。
あと、”3歳の花嫁”が個人的事情をもって泣けて仕方ないのです。

 

Future! (初回限定盤A)

Future! (初回限定盤A)

 

 

8位:ULTIMATE SACRIFICE/Galneryus

バカみたいにテクニカルなスピードメタル一辺倒。信念を感じる。ここまでやってどれも一緒にならないのは技術が故のアイディアによるものでしょう。日本語詩を基本にしているのもいい方向。 
ULTIMATE SACRIFICE

ULTIMATE SACRIFICE

 

 

9位:pacific daydream/Weezer

今年も出して、なんかむかつくんですけどちゃんといいし、こういうものを検討するときにどっちがいいデキかって考えたらどうしても上にきちゃうんですよね。なんでお前こんないいポップソング作り続けられるんだよ。
ただ、Weezerとは、みたいなこともちょっと思うぐらい、音像としてはソロっぽい。
なにもかもどうでもいいというぐらいジャケットがいい。歴代一を伺う勢い。

10位:The Iceberg/Oddisee

 意地で入れたUSラップ。トラップ全盛のなか、おもしろい音の組み合わせでグルーヴを作ろうという、おれの好きになったビートメイキングが嬉しかった。Q-TIP的というか。実にインテリジェンスを高く感じる。

 

The Iceberg

The Iceberg

 

 

その他

漏れたのを列挙。これは正直6位以下にはどこに入ってもよく、最後まで入れ替えていたところ。

軌跡 /DJ KRUSH

Style/高橋徹也

MODERN TIMES/PUNPEE

ULTRA HARD(DVD付)/ラッパ我リヤ

Culture/MIGOS

Mellow Waves/Cornelius

SHINJITERU/ハナレグミ

熱唱サマー/赤い公園

Will to Power/Arch Enemy

今年は難しいと書いた去年以上に難しく、もう無理レベル。P様を落としていいということにしてやっとまとまった。

ラップが特に難しくて、上記以外で、Oddiseeだけなんとか残したけど、DrakeとかLamerとかEminemとかJAY-Zとかようもまーってぐらい出してくれた。そこに日本勢が餓鬼、韻踏、Meisoあたりを加えてくる。

PORとWeezerは残ったけど、BECKBjörk、ノエルアニあたりの90年代の残党もね。

こうなるとBAD HOPとかゆるふわギャングあたりはかなり早い段階で消える。

幸い(?)過去作ほどよくなかったのがトリプルファイヤー、Converge、Mastodonといったところでしょうか。

そんなこって。

お子

コジンジョーホー的なアレがソレでぼやかしますけど子が生まれており、家ではかわいいしか言わないbotになりつつあります。異常にかわいいです。ギャン泣きしててもかわいいです。夜中オムツで起こされてもかわいいです。風呂に入れてる途中にうんちされてもかわいいです。

毎日少しでも早く帰ってお世話したいと思うんですけど、育児に関わらない人ってのはなんなんですかね。意味がわからないですよ。ちょう楽しいじゃないですか。もう趣味育児ですよ。イクメンとかじゃないんです。バラライカさんそいつはおれの趣味だ。

まあきれいごとばかりでもなくて、長らくろくにゲームができておりません。がんばって買ったSWITCHが未だにダンボールからすらも出せていません。抱っこひもだったら少しはできることを発見したので、それでなんとかしたいです。

まああとはフットサルもジムも行けていなんで、運動不足がちょいやばい、ぐらいですかね。

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1年以上を経てようやく書くシン・ゴジラへの疑問

シン・ゴジラが地上波放送されましたので、ずっとがまんつうほどのことではないけど言わないできた疑問について書きます。

なお。私は初日含めて3,4回劇場に通ったぐらいに好きなのですが、これらは思っている通りなら瑕疵です。それによって好きじゃなくなるということはありませんが、解決できるならより満点に近づくというものです。それを望んでいます。

 

roberto.hatenablog.com

 

①米国、欧州はヤシオリ作戦に反対するどころか支援しなければいけない立場では

最終局面におけるゴジラは完全無欠の状態と思われますが、それが見えているのは観客と、最前線で研究対策している巨災対だけです。多くに見えているのは、MOPは効くっぽいけど、爆撃機どころか戦闘機でももれなく撃ち落とすほどの絶対的な対空に無効化されているという状態のはずです。

であれば、核ミサイルを打ち込もうにも、それもやっぱり通らないということになるのではないでしょうか。どう対空(=火力)を無効化するかについて考えるなら、核ミサイルだろうが凍結だろうが、そこは共通して必要なステップです。それをやろうとしているのだから、24時間待ってくれっていう要求を拒む意味はわかりません。いやだ→核ミサイル発射→撃ち落とされる、で終わりですから。それとも着弾しなくても爆発するようにしますか?自国も危ない気がしますけど。

そして、結局対空は無効化されるのですが、なら次に試すのはMOPでなくて?

平泉成首相が駐日フランス大使に頭を下げて核を延期してもらっているという描写はどこの話?

大杉漣首相はこだわりすぎですが、この事態で最終意思決定者がヘッドクオーターを動くというのは考えにくいことです。そして、空は対空のため危険で、線路はアレですので車ぐらいしか移動手段がありません。ならば平泉成首相が行った先、フランス大使はどこにいるのでしょう?彼がその辺にいる時点で、頼むまでもなくフランスはミサイルを発射しないという立場ではありませんか?

ZARA

庵野秀明がそういうことにとことん興味がないのはわかるけどZARAて。モヨさん絡んでるならここは一言じゃないですかね。カヨコもそういうことに興味がないとしても、ならそういう人なんだという描写が欲しくなってしまいます。

納得のいく解釈をお願いいたします。

THA BLUE HERB 20周年記念ライブ at 東京日比谷野外大音楽堂 10/29

乳児がいるし、台風も近づいてきていたけど、これは行かないわけにはいかないやつでした。フジ仕様のゴア尽くし完全装備でも台風の中3時間さらされたらずぶ濡れになるという知見を得ました。人生指折り級の感動的なライブなのに、正直早く終わってくれって思っていたのは否定できない。

泣きに泣いた。ライブで聴いたことのなかったあれやこれや。10から13は奇跡を観ているかのようだったし、あのオルゴールが鳴った時点で涙腺は決壊した。

さらに貴重なこととして、O.N.Oが初めて手にした機材で初めて作った音に、ボスが初めてラップを乗せたという音源を流してくれた。過去のインタビューで知って以来ずっと聴きたかった音なのだけど、これQY-10なんですよ。それを初めてでこれ。天才なのでしょうね。

「それよりついにはお前が親か」このセリフをボスにかけてもらえるなんてねえ。

  1. WE CAN…
  2. BAD LUCKERZ
  3. AME NI MO MAKEZU
  4. 野良犬
  5. SHOCK-SHINEの乱
  6. I PAY BACK
  7. BOSSIZM
  8. WORD…LIVE
  9. MIC STORY
  10. スクリュードライマー
  11. 未来世紀日本
  12. 続・腐蝕
  13. 路上
  14. コンクリートリバー
  15. 未来は俺等の手の中
  16. WE WERE, WE ARE
  17. STILL
  18. STRAIGHT YEARS
  19. THE WAY HOPE GOES
  20. MAINLINE
  21. ALL I DO
  22. 時代は変わる Pt.1
  23. STILL STANDING IN THE BOG
  24. RIGHT ON
  25. Candle Chant(A Tribute)
  26. LIVING IN THE FUTURE
  27. MY LOVE TOWN
  28. 未来は俺等の手の中
  29. 20 YEARS, PASSION & PAIN
  30. AND AGAIN
  31. この夜だけが(1996年ヴァージョン)
  32. この夜だけは

SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR "THIRTY30FIFTY50 at 日本武道館 8/16

このためだけにベルゲン入りました。

ここ1年ぐらいで義母がファンになり、なんとか観せてあげたいなという気持ちもあったので感無量。

スピッツは自己評価が低いのか大箱をやってくれないのでなかなかチケットが手に入らないし、現役感を重んじる傾向が強いから、一回取れたからといって聴きたいあの名曲が聴ける可能性はさほど高くない。ここ一番の大箱周年イベントははずせないわけです。てことで。

基本セットには文句ないのだけど、アンコールはいかがなものかと思う。なにそれ?他会場も大体そうなので、ここに例えばロビンソンみたいなものをもってきてちゃんちゃんっていうのが恥ずかしいのかなと思う。でもねー。春の歌は全然当たりの方で。場所によってはここがスパイダーで、そればっかりはなんやねん!っていうちょっとした怒りもあります。スパイダーは普通に聴きたい曲でした。

猫になりたいが聴けたのは嬉しいですね。おれは多分初。青い車がないのだけど、このB面が猫になりたいですよね。本当は猫になりたいをA面にしたかったなんて話も聞こえていたので、そういう意地なのかしら、なんて。でも空飛べもやってないしね。

そんなこんなを全部うっちゃって、本当にいいもの観たなーと思います。じんわり。

  1. 醒めない
  2. 8823
  3. 涙がキラリ☆
  4. ヒバリのこころ
  5. ヘビーメロウ
  6. スカーレット
  7. 君が思い出になる前に
  8. チェリー
  9. さらさら
  10. 惑星のかけら
  11. モリーズ・カスタム
  12. 波のり
  13. ロビンソン
  14. 猫になりたい
  15. 夜を駆ける
  16. 夢追い虫
  17. 正夢
  18. 運命の人
  19. 恋する凡人
  20. けもの道
  21. 俺のすべて
  22. 1987→
    en
  23. ハチの針
  24. 春の歌

高反発枕

もう10年以上、枕はテンピュールを使ってきました。しかし、ここ数年首肩が痛いということが増えまして、この痛いは肩こりとかだるいとかではなく「痛っ!!」と口に出してしまうようなpainのレベル。幸いゴッドハンドと呼んでいる腕のいい整体師に巡り会えたのでどうにかなってきたものの、彼いわく低反発はよくないと止められてしまいました。

長年愛用してきただけに大変にショックで、しかも買い替えたばっかりだったので、信頼するゴッドハンドといえどもそうそう諦める気にはなれなかったのだけど、そうちょいちょい通える距離でもなかったので、この度半信半疑で高反発を試してみたところ、大変残念ながら改善してしまいました。試して1週間ぐらいで明らかな実感。

籐のように硬いものを想像していたのだけど、それよりは全然柔らかく、パンパンの硬い風船みたいな感じ。ぽよーんぽよーん。何が決定的に違うかというと、多分寝返りです。低反発が頭のポジションが固定される感じなのに対し、風船ぽいのでなんというか比較すると落ち着かない。落ち着かない分、よくないポジションで固まることが避けられるということかと思います。

ということで、多分、どちらがいいということではないのでしょう。そのときどき、寝る以外の諸々も含めた生活の影響に対して適当な物を使うべきなのかと。高反発で痛くなったらまたテンピュールを試してみます。

私が購入したのはこれで、レビューにも少しあるようにやや低くは感じますが、どれもそんなに変わらないのではないですかね。前述の通り風船程度の硬さなので、このボコボコも、特にカバーをつけちゃったら全然わかりません。

 

 

マンガ大賞2017について

今年の受賞作は聞いたことのないものだったのですが、小説が題材だということと、それで高評価ということならおもしろそうだなと既刊分(6巻まで)をまとめて読んだところ、ちょっと驚きなほどアレだったので少し書きます。

高評価のコメントをいくつか読んだところ、天才と凡人を描いたもので、その描写が素晴らしいというようなことでした。そこで、まず一つ目の疑問が生じます。それはなにか特筆すべきことだろうかと。むしろ、逆に天才を用いずに物語るほうが難しいぐらいではないかと。

例えばタッチ。上杉達也は天才です。バトンを受け取ってからは努力もしますが、それでも大変な努力家である和也よりも才能だけで上にいけると匂わせる描写が初期からなされています。

スラムダンクはどうでしょう。桜木花道は初心者ということをネタにしますが、それでも練習量で補えない身体能力をもち、リバウンド王としてチームに大きく貢献します。それで弾かれる(3年間努力した)メガネ君からしたら本当はたまったもんじゃないです。

サンデージャンプと挙げたのでマガジンにいきます。はじめの一歩では主人公も天才ですが、鷹村というより上位の天才を置き、そことの比較においては凡人ということもやっています。

これだけで伝わると思うのでやめますが、天才が主人公であることは大変よくあるというかむしろ普通です。また、凡人との対比ということであれば、メガネ君はものすごくおいしいところをもっていきますし、青木と木村もそうですね。凡人の悲哀と、それでもそこへの愛情や、やりがい、生きがいみたいなものが描かれています。

響はやはり主人公が天才ですが、他はその才能に屈服するという件だけで進みます。周りは全員主人公との差に打ちのめされるだけの存在です。もうええっちゅうねんというぐらいそれだけを繰り返します。では、どう天才なのでしょう、というところに興味は移ります。

圧倒的な文章力を持つそうですが、その説明は全て周りのリアクションです。題材選択の問題ですが、マンガであらわすのが難しいことがいくつかあります。音、味がすぐに思いつくところでしょうか。スポーツであれば、豪速球やものすごいパンチを描写します。対して、音や味はそうではありません。いろいろな作家ががんばっていますが、やはり基本周りのリアクションです。それだけにそこは勝負どころ。例えば美味しんぼで地元の鮎を食べた京極さんなどが典型でしょうか。士郎の鮎を美味いとしながら、理屈じゃ説明のつかない圧倒的な、かつ絵に描けない味というものの違いを表現しました。花咲アキラは画力のある部類の作家ではありませんが、あれはおもしろい表現だったと思います。

さて、小説はどうでしょう。文字ですからマンガで書けます。そもそもそれをやらないのかよという時点で大変に失望しました。何故概要を読んだだけでおもしろそうだと興味をそそられたかといえば、そのままマンガに書けてしまう題材だからです。音や味のような工夫をする必要がないのですから。おお、そこに真っ向から挑むのならやる気を買おうってなものです。

もちろんリアクションを勝負どころとしてもいいです。しかし、響では、その後どうなるかに違いはあれど、全員ただ唖然とするだけです。それならそれで、唖然のなかにもバリエーションをもたせたり、一枚の絵として叩きつけることも考えられます。読んだとき脳裏に浮かぶ心象風景を迫力描写するというのもおもしろいかもしれません。しかし、残念ながら絵がお世辞にも上手いとはいえません。福本伸行のように、書く内容の味があって初めて評価される、よくいってヘタウマでしょう。

主人公と比べれば凡才とされた作家がどの程度のものなのかもわかりません。昔はすごかったとか、ふわーっとしたことしか書いていません。その権威付けはことごとく芥川賞です。ほかなんかないの?ってぐらい芥川賞です。芥川を取らなきゃ作家じゃないのかってセリフがありましたけど、そんなこと言ってる人いるんですか?とりあえず祖父江のモチーフのひとりであろう村上春樹は取っていませんし、現芥川審査員の島田雅彦も取ってません。本当に考えを持って文壇をテーマにしたのでしょうか。そこを周五郎だの野間だのすばるだのいうことで文壇うんちくマンガとしての側面もあったかもしれませんが。つまり、小説という題材を選んでおきながら、それがマクガフィンでしかないんです。バクマンは読みましたか?

今(6巻)ではラノベ、アニメの方向にも響いちゃう、ということのようで、その前が直木賞芥川賞ダブル受賞ですか。ものすごいぼくのかんがえた感。興味のない(薄い)題材にずけずけ入ってきているという印象が強いです。どうせならタイガーショットでネット破ってくださいよ。スカイラブハリケーンで空飛んでくださいよ。

他にどこが評価されたのでしょうか。その分野においては圧倒的な才能を示すものの、人間的に欠落があるというキャラでしょうか。殺し屋1がそうですね。殺しという粗暴な行為なのに泣き虫。奇しくも同じ殺し屋でいまやっているファブルもそうですね。1ほど極端な立たせ方はしていませんが、微妙ながら決定的なずれをよく描いてあると思います。響の場合、すぐ暴力を振るったり屋上の縁に立ったりと、自分や人(の身体)に頓着しないところですかね。それはいわゆる普通のやべーやつで例を挙げるのもアホらしいです。欠落のある人間が友情で変わる(自分はいいけど、友だちが傷つけられるのは許せない)という流れでしょうか。やはりそれ自体はみるべきことと思えません。

唯一、ちょっとおもしろいなと思ったのは涼太郎の静かなサイコっぷりですかね。あれが、響が職業作家=普通の女の子でないものになるのを阻むため、何の心もないけれど理屈だけでものすごい小説を書いて響を潰す、とか、ここにだけはおもしろい展開の芽があるように思います。いうてもそれもあるあるなんですけど、そもそも新しい挑戦である必要はないし、圧倒的な画力である必要もありません。ただ淡々と地味なテーマを描くのだって素晴らしいことです。家栽の人とかがそうでしょうか。しかし、私はこの響という作品に真っ当な意味では興味をもてません。正直なところエントリーすら疑問なレベルで、なんでこれが票を集めたんだろうという興味だけです。

基本、未読で気になるものを教えてくれる賞ぐらいにしか考えていないのですが、ここまでズレられれると他にも懐疑的になってしまいます。

最後に、これはまったく個人的な趣味の話になりますが、今年は星野、目をつぶって。がエントリーさえされていないところに絶望を感じました。トップ10の中からいうなら断然アオアシです。

以上です。

MM誌の日本のヒップホップ・アルバム・ベスト100について

日本語ラップのベスト100という企画で、それだけのことは特別悪いとは思っていません。しかしこれはちょっと拙いのではないかと感じたところに、叩かれているという話もいくつか読んだのでちょっと気になるところを。 

 叩きは今まで虐げられてきた者の怨念のようなことではないかと書かれていた選者がいらっしゃいました。MUSIC MAGAZINE誌は日本語どころかラップ全般に冷たい雑誌だったようだし、バカにしてきたくせに流行りだからっていっちょかんでんじゃねえみたいなこともあるのかもしれません。しかし、それは私の感じる問題ではありません。

前提として、投票の集計結果としてのランキング、賞(本屋大賞CDショップ大賞マンガ大賞)にはいい感情をもっていません。やりたければやればいいし悪いことではないけれども、そう簡単に有意義なものにはなりませんよと。

しかしやりようはあります。なにをどうしても漏れるものは漏れるわけですが、ポイントはそれを論議の基にできるか、ただの不満になってしまうかで、やりかたがまずければ後者が増えるということです。それはおおざっぱに、構造の問題、企画の問題、人材の問題に分解できると思います。

①構造の問題

投票者が多ければ多いほどですが、テイストは薄まります。志向がバラけたなら、誰もが押さえなければいけないと感じるビッグネーム、話題作が残りがちで、大勢ではないかもしれないけど、これが好きな、これこそを求めているという人はいるみたいなものは確実に埋もれます。実験作や問題作みたいなものがそうなりがちかと思いますが、その性質故に好きな人の強い反感が考えられます。これはもう宿命として受け入れる他なさそうです。

②企画の問題

漠然とベストっていったらなにをイメージするでしょう?売上だって立派なベストだし、金字塔、分岐点といったものもそうかもしれません。そんなん知るか!誰がなんといおうとおれはこれが好きなんだ!だってそうでしょう。各自のそれは興味深いランキングになります。しかし、その意識合わせのないものを集計したらいけません。意味がわからないものになります。しっかりとしたコンセプトが必要不可欠です。有名なうんちゃら大賞も大体これはきちんとしています。

③人材の問題

企画をきちんとしているのに、うんちゃら大賞は大体おもしろみのないものになります。それが人材の問題です。例えば2011年の本屋大賞謎解きはディナーのあとでですが、ノーエクスキューズで考えられません。確かに直木賞に残る可能性はなく、そういう作品に日の目をというコンセプトには合致しますが、おえらい先生方には認めてもらえないけれども、埋もれるには惜しい、(たくさんの本を知っている)書店員だからこそ推したい名作、ですか?あれ。本当に他のもの読んでます?価値判断できてます?それでもあれがいいと思われました?CDショップ大賞2017にいたってはなんと宇多田ヒカルです。「この国には、過小評価されている音楽が多すぎる。」から始めた賞ではないのですか?なら誰に言われなくても除外して然るべきでしょう。つまり、明らかにコンセプトを理解できていないのが大半ということです。そして、その資格(?)がある人を充分数集めるのは難しいです。

話は戻ってMUSIC MAGAZINE誌の話ですが、①は不可避ですから、②と③を検討すべきです。

まず②ですが、主観か客観かは明らかにされているのでしょうか。私が選者を頼まれたならまずそこは確認します。例えば、空からの力は主観的には入れない可能性が高いです。KOHHなんかはもっとそうです。かっこいいと思うし、歴史的に重要なことも間違いないのですが、思い入れがありません。そこに枚数の制限があるのですから、上から並べたならどんどん下にいきます。逆に随喜と真田は客観的には入れません。もっと先に聴くべきものはたくさんあります。しかし、主観的にはまっさきに浮かんだ10枚のうち1枚です。

アルバムかどうかについてはどうでしょう。クリーピーとDOTAMAの鼎談で、クリーピーの作品が入っていないことに触れ、ミニアルバムだからかとも思ったけど、KOHHやPUNPEEはミックスCDでも入っていたとあります。というか、証言や、人間発電所が思いっきり入っています。これは揃えられているのでしょうか?タイトルに「アルバム」って入っているけど。結果を見てから、なんだよミニありかよならクリーピー入れたよという選者はいませんでしょうか?

そして、それを決めたのか決めなかったのか、もし決めたならどうなのかを明確にしなかったことが致命的であったと思います。頭の話ですが、なにが漏れようと、例えばアルバム売上のランキングですと言われれば文句になりません。

選者コメントでいかにもそこが不統一であったことが伺え、それぞれそこに否定的でない事を書いていますが、正直あまり信じられないし、本気なら同意しかねます。

次に③です。この選者はどういう基準をもって決めたんでしょう。どういう基準でもいいんですけど、わかりません。ゆうめいツイッターアカウントが少々目立ちますが、そんなこと言われてもというのが正直なところです。リスナー代表という理解にしては生業として評論してる方もいらっしゃいますよね。そういうプロとアマの割合は?50:50を狙ったというならそれもそれでいいですよ。どうですか?ラッパーが決める!でもいいですよね。そうか、ラッパーが選ぶとそうなるか、ということで不満がおさまる人もいらっしゃると思います。

ここまで書きながら、これら全部ぶっちぎって、雑に訊いてそのまんまランキングしましたってのも、まったくの無意ではありません。おもしろくはないけど、確かにそれもひとつのデータです。しかし、その上で叩きを回避する方法もあって、各自のランキングもそのまま載せることです。何故それをしなかったのか、正直まったくわかりません。総合で漏れても、ああ、あの人はあれ入れてくれてるんだ、わかってるな、みたいに勝手に納得してくれるのに。ぶっちゃけ、1枚1枚のコメントなんてさほど意義がないのだから、その分の枠をまわせばよかったのに。

一人頭30枚も選ばせたことから、データとして有意に近づけようということだと想像しますが、母集団の選び方や設問が雑なら多くすることでかえって知りたい答から遠のくということはあります。

自分であれば、トータルランキングはあくまでおまけ、余興として、各自のランキングをこそメインコンテンツと考えたでしょう。であれば人選についてはどうでもいい(好きな人だけ気にすればいい)し、コンセプトについてもそれぞれが言い訳(笑)するでしょう。

もうひとつ、本当にトータルランキングを目指そうという考え方もあります。その場合は直木賞方式がいいのではないかと思うので、人選は重要です。ラッパー、DJ、評論家、ファンからそれぞれ代表を理由明記で選出し、合議、とかです。

最後に念押しです。何が漏れたからという批判ではありません。本屋大賞CDショップ大賞マンガ大賞と並列に、企画としておもしろくなく、より納得感のあるやりようもあったろうということを書きました。

はじめてのたからづか(王妃の館)

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ずっと行ってみたかったのだけど、歌舞伎同様、一度になる可能性があるから、例えばベルばらとかのビッグタイトルがいいなと思って引き伸ばしてきたのを、とあるきっかけで特にビッグでもないだろうこれを観に行きました。

http://kageki.hankyu.co.jp/revue/2017/ouhinoyakata/

 おれは全ての小説のなかで一番好きなのが蒼穹の昴という浅田ファンなので。悪くもありません。が、コメディ浅田です。宝塚的美麗感は楽しめるものなのかしらと少々懐疑的。

結論から申し上げますと、最 to the 高でした。また行きたいです。

まず驚いたのが、かなりの人数の生バンドなんですね。すごい。ピットに隠れているので大半見えませんけど、2階席なので多少覗き込む形になれたので、ドラムやパーカス、ピアノがいるのは見えました。弦と管は何人ぐらいかしら?音でいえばエレキベースやギターも聞こえるのだけど、これが本当にいるのかはわかりません。明らかに打ち込みのときもあったし。

興行としては、二部構成です。劇と、レビューと呼ばれるショー。

劇はちょっと学芸会っぽいです。笑いの取り方とか。おれが観に行ったことあるのは大体下北にいるような連中のなので、少々気恥ずかしさも。

だけど、やはりミュージカルなので、場面転換などの節々で歌い、踊るのがメインです。これがちょうグルーヴィー。前述の通りの生バンドに乗り、全開です。バレエの素養がある人たちなので、足も上がるしぐるぐる回る。とにかくダイナミック。これやりながら歌うってすげえなって素直に感動できます。この舞台だと最初の見せ場はホテル従業員がフォーメーションで踊るところだと思うのだけど、この振り付けがもうキュートで。

曲もいいです。リリースされてたら普通に買いたいぐらい、ポップな昭和の歌謡って感じのが結構。

スターである男役の朝夏まなと(何故か一発どころか予測で変換できる)さんはまあ当然なのだけど、他は誰がえらいのか、最初はよくわからない(一切予習をしなかった)。浅田小説はあんまり主役と脇役をはっきりわける書き方しないので、誰にスポット当てることもありえるのだけど、あ、この人だなって目を引く存在はいるのです。華があって、つい追っちゃう。この、三瞬で恋に落ちたスターこそ、実咲凜音(やはり予測で変換できる)さんでした。尋常じゃない格好させられてて、主役以上にそんな服で街歩いてるやついねえよ状態(しかも2回衣替える)なんだけど、それに負けていない存在感。ああ、美しい。幕間にパンフ買いにいって調べたらこのツアーで退団ですって。うそーん。間に合ったのか間に合わなかったのか。宝塚はまた行きたいけど、朝夏まなとさんも退団なので、せっかくお気に入りを見つけたのにそこからになる。痛い。とりあえず物販でブロマイドとポストカード買いました。これももう買えないんだと考えたらもっとぶっこんでおけばよかったと今は反省している

話戻して今度はレビューですが、20帖、1時間にも渡る切れ目なしのワンステージ。出演者、特にスターは何度も出ますので、着替えも大変でしょう。息も続くのか。ていうかこれ憶えるのか。そういうことを除いても、舞台上の人数が凄まじい。圧倒的。脳内物質ぶわーっです。ときどき客席(2階にすら!)来てくれます。一瞬たりとも客を休ませません。

一応ストーリーらしきものも垣間見えるのだけど、まあ、意味はわかりません。ていうか多分ありません。世界観が1帖ごとにがらっと変わるので、通しのストーリーではなく、この人とこの人がこの人を取り合って戦います、理由とか背景は考えてはいけません、はい次!みたいな感じがひたすら。突然ソーラン節になるし、その辺は歌舞伎以上にぶっ飛んでます。こう考えると、おれにとって歌舞伎はどっちつかずってことなのかもしれません。ちゃんと筋に沿うか、完全にぶっちぎるか。なまじ意味っぽいものがあると引っかかっちゃう。筋とかどうでもええねんきれいならかっこよけりゃって世界って意味では同じなのかもしれないけど、やっぱりこのぐらいはまとめてほしいものです。

正直劇部分にも物語としてのおもしろみはない。浅田作品としてのよさはだいぶスポイルされている。本当に学芸会みたい。でも、このぐらいフックがないことで、ひたすらスターを楽しむことだけに専念できる、とは言えると思うのですよね。

舞台装置もものすごく気に入りました。本当にきれいだしよく動く。ものすごくセンスがいいなあと。LEDをふんだんに使ってて贅沢かつ現代的。これそのうちプロジェクションマッピングも入るんだろうなー。どんなふうに使うのかなー楽しみだなー。

今回は前述の通り、一回こっきりになる可能性を考慮してちょっといい席(8300円)にしたけど、続けるなら安い席も検討しないとなー。

お客さんはやはり圧倒的に女性が多く、男役のスターを一番に楽しむのが王道だとは思うのだけど、おれは男性だからか、やっぱり娘役が気になります。実咲凜音さんが足を高く上げて、ドレスがふわっと舞うなんてのはセクシーだなーと思いました。

もしここにたどり着いた方で、実咲凜音さんにはまったおれにオススメのスターをご存知の方がおられましたら、そっとおしえていただけるとうれしいです。ヒガシマル醤油の広告が貼ってあったので、綺咲愛里さんも魅力的だと思ったのだけど、結局はまるかどうかは生でみないとわかんないんでしょうね。

最後。この小説にはオカマが出てきます。これをどっちがやるかっていうと、やっぱり男役なんですね。ややこしい話だけどおもしろかったです。