はじめてのたからづか(王妃の館)

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ずっと行ってみたかったのだけど、歌舞伎同様、一度になる可能性があるから、例えばベルばらとかのビッグタイトルがいいなと思って引き伸ばしてきたのを、とあるきっかけで特にビッグでもないだろうこれを観に行きました。

http://kageki.hankyu.co.jp/revue/2017/ouhinoyakata/

 おれは全ての小説のなかで一番好きなのが蒼穹の昴という浅田ファンなので。悪くもありません。が、コメディ浅田です。宝塚的美麗感は楽しめるものなのかしらと少々懐疑的。

結論から申し上げますと、最 to the 高でした。また行きたいです。

まず驚いたのが、かなりの人数の生バンドなんですね。すごい。ピットに隠れているので大半見えませんけど、2階席なので多少覗き込む形になれたので、ドラムやパーカス、ピアノがいるのは見えました。弦と管は何人ぐらいかしら?音でいえばエレキベースやギターも聞こえるのだけど、これが本当にいるのかはわかりません。明らかに打ち込みのときもあったし。

興行としては、二部構成です。劇と、レビューと呼ばれるショー。

劇はちょっと学芸会っぽいです。笑いの取り方とか。おれが観に行ったことあるのは大体下北にいるような連中のなので、少々気恥ずかしさも。

だけど、やはりミュージカルなので、場面転換などの節々で歌い、踊るのがメインです。これがちょうグルーヴィー。前述の通りの生バンドに乗り、全開です。バレエの素養がある人たちなので、足も上がるしぐるぐる回る。とにかくダイナミック。これやりながら歌うってすげえなって素直に感動できます。この舞台だと最初の見せ場はホテル従業員がフォーメーションで踊るところだと思うのだけど、この振り付けがもうキュートで。

曲もいいです。リリースされてたら普通に買いたいぐらい、ポップな昭和の歌謡って感じのが結構。

スターである男役の朝夏まなと(何故か一発どころか予測で変換できる)さんはまあ当然なのだけど、他は誰がえらいのか、最初はよくわからない(一切予習をしなかった)。浅田小説はあんまり主役と脇役をはっきりわける書き方しないので、誰にスポット当てることもありえるのだけど、あ、この人だなって目を引く存在はいるのです。華があって、つい追っちゃう。この、三瞬で恋に落ちたスターこそ、実咲凜音(やはり予測で変換できる)さんでした。尋常じゃない格好させられてて、主役以上にそんな服で街歩いてるやついねえよ状態(しかも2回衣替える)なんだけど、それに負けていない存在感。ああ、美しい。幕間にパンフ買いにいって調べたらこのツアーで退団ですって。うそーん。間に合ったのか間に合わなかったのか。宝塚はまた行きたいけど、朝夏まなとさんも退団なので、せっかくお気に入りを見つけたのにそこからになる。痛い。とりあえず物販でブロマイドとポストカード買いました。これももう買えないんだと考えたらもっとぶっこんでおけばよかったと今は反省している

話戻して今度はレビューですが、20帖、1時間にも渡る切れ目なしのワンステージ。出演者、特にスターは何度も出ますので、着替えも大変でしょう。息も続くのか。ていうかこれ憶えるのか。そういうことを除いても、舞台上の人数が凄まじい。圧倒的。脳内物質ぶわーっです。ときどき客席(2階にすら!)来てくれます。一瞬たりとも客を休ませません。

一応ストーリーらしきものも垣間見えるのだけど、まあ、意味はわかりません。ていうか多分ありません。世界観が1帖ごとにがらっと変わるので、通しのストーリーではなく、この人とこの人がこの人を取り合って戦います、理由とか背景は考えてはいけません、はい次!みたいな感じがひたすら。突然ソーラン節になるし、その辺は歌舞伎以上にぶっ飛んでます。こう考えると、おれにとって歌舞伎はどっちつかずってことなのかもしれません。ちゃんと筋に沿うか、完全にぶっちぎるか。なまじ意味っぽいものがあると引っかかっちゃう。筋とかどうでもええねんきれいならかっこよけりゃって世界って意味では同じなのかもしれないけど、やっぱりこのぐらいはまとめてほしいものです。

正直劇部分にも物語としてのおもしろみはない。浅田作品としてのよさはだいぶスポイルされている。本当に学芸会みたい。でも、このぐらいフックがないことで、ひたすらスターを楽しむことだけに専念できる、とは言えると思うのですよね。

舞台装置もものすごく気に入りました。本当にきれいだしよく動く。ものすごくセンスがいいなあと。LEDをふんだんに使ってて贅沢かつ現代的。これそのうちプロジェクションマッピングも入るんだろうなー。どんなふうに使うのかなー楽しみだなー。

今回は前述の通り、一回こっきりになる可能性を考慮してちょっといい席(8300円)にしたけど、続けるなら安い席も検討しないとなー。

お客さんはやはり圧倒的に女性が多く、男役のスターを一番に楽しむのが王道だとは思うのだけど、おれは男性だからか、やっぱり娘役が気になります。実咲凜音さんが足を高く上げて、ドレスがふわっと舞うなんてのはセクシーだなーと思いました。

もしここにたどり着いた方で、実咲凜音さんにはまったおれにオススメのスターをご存知の方がおられましたら、そっとおしえていただけるとうれしいです。ヒガシマル醤油の広告が貼ってあったので、綺咲愛里さんも魅力的だと思ったのだけど、結局はまるかどうかは生でみないとわかんないんでしょうね。

最後。この小説にはオカマが出てきます。これをどっちがやるかっていうと、やっぱり男役なんですね。ややこしい話だけどおもしろかったです。