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IRON MAIDEN The Book of Souls World Tour 2016 両国国技館 4/21

2006年は金もなかったし、もうひとつ気分でなかったのでスルーしたのだけど、2008年は出遅れて取れず、2011年はチケットあったのに震災で流れ、ようやく待ちに待った初のメイデン。升席14kというかなりのお値段で、5年前のAC/DCがアリーナスタンディングが12kだったことを考えるといかがなものかと思っていたのだけど、キャパが大違い。約10kの両国国技館をステージで半分潰す5k~6kで、自家用ジャンボでのりつけ、巨大演出もやるスタジアムバンドを観られるという贅沢。これなら十分納得。

とりあえずバンドが出てきただけで泣けた。生きてる!動いてる!

ブルースのお歌がもうむちゃくちゃ上手い。ぱっと聴き上手く聞こえないタイプだと思うんだけど、声量も音程も文句なし。しかもパフォーマーとしてちょう優秀で、動きまくる煽りまくる。特にお猿さんパフォーマンスは本当に微笑ましくて、ブルースもお客さんも笑顔でうきゃうきゃ。アートワークも含め、本来強面の音楽であるのに、この楽しさ。でも決してリスペクトを失わない絶妙のライン。ホントわかってるよなーと感動。

そして御大スティーヴ・ハリス。この方の存在が今のメタルの立場を確立したといっても過言ではない。というのはもちろんこのバンドを興し、その中で素晴らしい曲をたくさん書いてきたというのもあるけれど、なによりベース人口への貢献。

やっぱりメイデン聴いて真っ先にやりたくなるのってベースだと思うんですよ。どんなにボーカルや曲調が変わろうとも、これぞIRON MAIDENであるという確固たる音像があって、それはこのバキバキと3連を刻むベースサウンド。どんなギターヒーローやボーカルがいたって、ドラムとベースがいなきゃ世に出ることは難しく、そのためにはキッズが憧れるヒーローってものが欠かせないのだけど、ドラムはともかくベースはそれが極端に少ない。80年代までにいたのって、強いて言ってギーザーバトラー、クリフバートンぐらいではなかろうか(ビリーシーンはメタルではないし、また文脈が違うのでここでは除外)。それ以外は、プレイヤーの力量問題もさることながら、とにかく聞こえないミックスが主流だった。これはつまり、バンドの中における序列みたいなものが大きく影響していたのではないかと。例えば、メタリカがジャスティスで極端にベースの音量を落としたのが大きなその証左のひとつと言える。その意味でスティーヴは最強だった。彼がいなかったらメタルのベース人口はどれだけだっただろうか。

技量的なことをいっても、メタルという音楽は殆どの場合ベースがピックを使ってギターと同じラインを弾くので、言ってしまえば、ベースの弾けないギタリストはいない、ということになる(逆は言えない)。しかしスティーヴハリスのベースはそうではない。そもそも指弾きであり、しかも前述のあのバキバキとした音をコントロールし、出し続けるってのはベースだけの技術であり、多分たとえインギー様でもかなりの練習なしにはできない。そして、これはその前述を覆すようだけど、ギターとのユニゾンフレーズが多いのに、それを難なくこなしてしまう。”The Trooper”なんかが顕著だけど、ギタリストは試しにあれを指でやってみてほしい。ピックならまあなんとかできるものが、左も含めて全然できない、なんてことになりませんか?(できちゃう人もいるでしょうけど)つまり、メタルギタリストはベースも弾けちゃうっていうのは、基本的なリフの話であって、メイデンには当てはまらない。なぜなら、メイデンの曲はギターで作ったリフにベースが合わせるのではなく、ベースが先にあるから。すげえ弾けるスティーヴを基準にすべてが構成されるから。

とまあ、長々書きましたが、そういうようなことを短い時間で確信させてくれる、スティーヴハリスでした。メタルベースの神様でした。

そして、期待に応えてくれた演出。巨大エディー、中型(3mぐらい。これが動き回るのが一番すごいと思った)エディー、悪魔像、曲ごとに変わるバック(布)、炎ともうサービス精神全開。明らかにスタジアム級用のそれで、このキャパに持ってきてくれたってのは本当にありがたく、チケット代も納得という理由のひとつ。

ということで、じゃあ満足かというと、正直なところセットリストにはがっかりも。先に書いてしまうと”Aces High”がなかった。次に楽しみにしてた”2 Minutes To Midnight”もなかった。これは痛い。どちらかが締めにあれば大満足という印象になったと思う。終わりよければすべてよし。それが”Wasted Years”ってちょっとアレでしょ。悪くもないけど締めじゃない。で、締めがいまいちだったことでがっかりっていう印象になるのは、その他の部分での満足度の低さ。や、わかってるんです。これがThe Book of Soulsのツアーで、それがもう一つ好きじゃないおれがそう感じるだろうなということは。しかしそれにしても、最新アルバム+クラシックっていう構成であるなら、誰もがやって欲しいと思うような曲はできるだけ入れてほしいし、そうでないなら。お?それやんの?っていう嬉しい驚きのひとつやふたつは入れて欲しかった。例えば”Be Quick Or Be Dead”ぐらいかしら。

”Be Quick Or Be Dead”って挙げたのにはもう一つ理由があって、トリプルギターってどんなもんかと思っていたのだけど、バッキングはもう全然わからなくて、ソロでだけ個人の味が出るという感じ。で、エイドリアン、デイヴ、ヤニックの順に多く、これがちょっとおもしろいのだけど、技術的には逆に感じられた。その多分一番うまいヤニックは2,3曲しかソロ弾いてなかったと思う。可哀相。だから、加入当時の、主役だった頃の曲をもう一つぐらい、と思ったのです。

で、メイデンって基本ツアー中にセットいじらないバンドだから、事前にわかってたってことなんだろうけど、割と多くのお客さんが”Wasted Years”が終わったらさくっと帰るって、ちょっと寂しくありませんかね。素晴らしいパフォーマンスだからあとちょっとでいいからっていうアンコール本来の意義を問いたくなりましたね。ごくまれにだけど、他のバンドで武道館レベルでもガチのアンコールやってくれたことありますよ。

ということで、食い足りないので、次を待ちます。そのときは”Aces High”、お願いしますね。

  1. If Eternity Should Fail
  2. Speed of Light
  3. Children of the Damned
  4. Tears of a Clown
  5. The Red and the Black
  6. The Trooper
  7. Powerslave
  8. Death or Glory
  9. The Book of Souls
  10. Hallowed Be Thy Name
  11. Fear of the Dark
  12. Iron Maiden
    en
  13. The Number of the Beast
  14. Blood Brothers
  15. Wasted Years