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ちはやふる 上の句

映画

まず、広瀬すずという女優について、パーソナリティ的にはよく思っていない。やっぱりあの手の裏方軽視の発言をテレビでしちゃうというのは、愛されるキャラとはいえないし、それを隠さ(せ)ないあたり頭というか要領もあまりよくない。そして、顔はとても可愛いと思うけど、好みというわけではなく、つまり、目玉であろう主演女優は観ることにした理由には一切関係ない。

ただ、マンガはいいお話だと思うし、宣伝から見える再現度みたいなものにも期待がもてる。そして、なにより評判がとてもいい。ということで観てきました。

結論からいうとかなり最高に近いです。まず原作から離れて、つまり知らなくても楽しめるものになっているかというと、知っているおれには完全な判断は難しいのだけど、できていると思う。2時間で起承転結にまとめられているし、画もきれい。キャラクターもよく動いていて、ジュブナイルとして一級。

次に原作再現度という意味で、いくつかのエピソードの勘所をつかんで、それを上手いこと一つのシークエンスにまとめ上げているから、あの話は省いちゃダメでしょ、みたいなのがあまりない。というかおれにはないのだけど、読み直したらそれなりに省いてはいるはず。でも、気にならないならいい。

こういう企画で、ともすると陥りがちなのは、よくできてるんだけどフックがない、という罠。そこは二つのポイントで回避できていると思う。

まず、第一に肉まん君。ここだけ原作と変えている。実は机君も違うのだけど、物語上の機能は大きく変わらないのに対し、肉まん君は殆ど別キャラ。デブも押さないし、軽いし、なにより強いキャラとして描かれている。そしてこれを演じる矢本雄馬がいい。ときどきその軽さでもって場(というか視聴者)をざわつかせる。存在がいい意味で浮いているのだ。それは、他のよくできた部分によって、長引くことなくさーっと消えるのだけど、確かにいまちょっと心が動いたな、という印象が残る。

もう一つが、これは原作読んでないとまったくダメなのだけど、その肉まん、机以外の異常な再現度。須藤もおおって思ったけど、ヒョロはもうずるいだろあんなん。ヒョロじゃん。そんな三次元いるのかよ。できれば、事前に確認しないで観ることをオススメ。出てきた瞬間で笑えるから。下の句の予告でも、松岡茉優がもう間違いないであろう事を見せているのでここは引き続き楽しみ。

これは、いい原作と、話題のスターを丁寧な脚本演出で損なうことなくまとめあげ、その中でちょっとくすぐりを入れることで、再現芸術だけに終わらないという、現時点でこれ以上は考えられない理想型だと思います。