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小説 響け!ユーフォニアム/武田綾乃(アニメ劇場版が控えているのでネタバレに配慮する)

アニメがとても良かったのでという後追い組。終わってすぐ買って積んだんだけど、なかなか手を出せないでいたのを一気読み。

これは良いジュブナイル。王道の部活物としても優れているので、アニメが気に入った人が大丈夫なのはもちろん、未見の人でもそういうのが好きなら楽しめるのではないかと思う(読まないだろうけど)。

非常に文章が瑞々しく、若いうちにしか書けないものだと思う。ベテランでは上手い作家でもこれはできない。今の高校生がどんな感じでデジタルデバイスを使っているのかとか、女子高生が靴下をどうしてるのかとか、話の筋的にはどうでもよく、想像で書いてもまあどうにかなることだけど、ついこの間までそれだった人が書くのは説得力が違って、安心して没頭できる。これおっさんだからその程度だけど、主な読者であろう若者たちにしてみたら、ありえないようなことが書いてあったらものすごいノイズになるだろうからとても大きい。

こう、自分が近いところを体験してるかってのは大きくて、どんなに取材したって、ここに書かれているような(一流のプロではない)吹奏楽部の描写なんてできないんだよね。完璧なアンサンブルっていうのだったらCDやコンサートでいくらでも勉強できるけど。そういうその(種の)人にしか書けないことって貴重だし、読む価値残す価値があると思う。濃い特殊な体験をして、しかもそれが時期を選ぶもので、そしてそれから間を置かず、みずみずしいうちに、文章を書く能力のある人が、っていうの、なかなか得難いことだよ。

技術的にも問題なく上手。一つだけ気になったのは、(食べ物を)咀嚼って言葉をよく使っていたけど、これは個人的にはしっくりこなかった、ぐらい。

ちなみに、アニメは1巻のところできっちり区切れているので、なんなら2巻からでも大丈夫。そして、4巻は4巻というか外伝みたいなものだし、正直いうと書かぬが花みたいな、本編で物語のスピードを削ぐからと切り落とされた部分を集めたようなものなので、お話らしいお話はなく、特にオススメはしません。この1冊で14本とかなので、どれも短く食い足りないし。誰のとは書かないけれど、コイバナの結末がひとつ載っているので、どうしても気になる方はどうぞ。 

 

 

響け! ユーフォニアム 3 北宇治高校吹奏楽部、最大の危機 (宝島社文庫)

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