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パディントン

最初に書いておくと、おれはクマが大好きで、これを観ることにした理由の90%を占めます(ちなみに残り10%がクマの声をベンウィショー君がやっているからだけど、それはあんまり重要じゃない)。そしてクマは思っていたとおり、とてもかわいい。しかし、それを強調するとこの映画の本質を見誤るので、ここではもう書かない。

こういう映画の難しいところだけど、クマがかわいいのとお話はまああんまり関係がない。関係がないからお話はお話できちんと成立させないといけないのだけど、さりとて可愛いを看板にもってきちゃっている以上、どうしてもそのために尺をとられる。この映画は本当にそのバランスが見事で、お話が本当にちゃんとしていて、え?なんで?みたいなところがなく、全てがしっくりと、納得いくようにできている。物語中毒であるところのおれでも、十分満足行くだけの物語があった。

まずいきなり見事というか、唸らされたのが、序盤の駅シークエンス。かわいいだけの映画かどうかは、しゃべるクマというファンタジーと現代の現実世界のすり合わせをどう乗り切るかにかかっていると思っていたのだけど、これをそこ一発で済ませてしまった。だから一家がクマと接するところでも、オーケーオーケーそういう世界なのね、と受け入れていたのでなんの違和感もなかった。この時点でこの監督は信頼できると確信。

前述のとおり、全体的にちゃんとおもしろいお話になっているのだけど、それ以上にこの映画がすごいのは、伏線回収。それっぽいのは全部拾わないと死ぬ病気なの?というぐらいの執念。こっちがそうと認識してないレベルまで拾うから、あれがこうなったのか!ではなく、あれは伏線だったのか!と驚くことの方が多い。

基本子供向けなんだろうし、ちゃんとそうできているのだけど、一緒に観る大人が大人だからこそ楽しめるような(主に笑いの)ネタがたくさん散りばめられているのにも感心した。一箇所周りをはばからず、声を出して笑ってしまったところまであった(警備員二人の本当にしょうもない会話)。

あと、画と音のデザインも見事。本当にきれいにまとまっていて気持ちいい。こういうところまで徹底的に拘った、ディレクティング力の結晶。

萌えて、笑えて、呆れて、ジーンとくる。この時点で2016年のベスト候補になることは間違いない。

是非劇場で!というものでもないんだけど、もし子供時代に金曜ロードショーなんかで観てたら一生のフェイバリットになる、そんな映画。