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ガールズ&パンツァー 劇場版(ネタバレ(もへったくれもないと思っている))

映画

100点の映像と0点の脚本。間を取っての50点ではなく、100点と0点としかいいようがない映画。

まず映像。コッテコテの二次元萌えキャラには抵抗のある向きも多いと思うし、個人的にもそんなに歓迎はしないけれど、抵抗もない。

ポイントはやっぱり戦車で、これはもう文句なく素晴らしい。精緻な書き込みと、重量感と疾走感。底が地面をこする際の火花などのエフェクトが安心してこのファンタジーに没頭させてくれる。FPSネトゲでも見ているかのように、フィールドのそこらじゅうで平行して戦闘が繰り広げられており、もうなんだかすごいぞこれってわーわー言ってたら終わる感じ。戦車とか銃器とかそういうのが好きな人にはたまらないと思う。

ネタバレというか、事前になんだか(虫の知らせなのか)カール自走臼砲が気になってWikipediaを調べてたところ、登場する作品にこの映画があって、でっかいのが遠くから飛んできた時点でカールだ!とあがった。本当はなんだなんだ?とスリルを感じつつ考えるところなんだろうけど、それはそれであり。ギミックとしかいいようがない大味な兵器を登場させてくるのなんて劇場版をよくわかってる。

カールは戦車じゃねえだろっていうツッコミもこじつけでアリにしてて、そういうのも兵器についてはなにもおざなりにしないという姿勢が見えて好印象。まあ、特殊カーボンで守られてるから命の危険はないっていう設定をかなり危うくするとは思うけど、目を瞑る。

その他にもフィンランド軍のBT-42がいかんなくその特徴、つまり速さを発揮している件は非常に熱かった。

ただ、0点と書いたように、脚本はもう全く評価できない。

まず、このガルパンという企画全体、基本的には無茶苦茶で、突っ込みだしたらキリがないのだけど、勢いと描写、そして萌えをもってそれをさせずにどうにかテレビシリーズ12話をやりきったのだと思う。なのに、今回の脚本はそこをほじくり返してしまうようなことをしてしまっている。

一番大きいのは、多くの人が指摘しているように、テレビシリーズの廃校撤回は口約束だから無効というところ。それはない。チープなだけでなく、12話の闘いはなんだったんだとテレビシリーズまで台無しにしてしまう。

名前は知らないしつけていないけど、「とりあえず危機があるの!訊くな!」的メソドとして目を瞑っていたのに、こう蒸し返されると、ついに、なんでそこまでして潰したいんです?っていう疑問が堰を切ってしまう。学校の運営費ですか?それがプロ化において何の障害になるんですか?あと、あんまりお金をリアルに言い出すと、そもそも戦車走らせて壊れたら直すのにどれだけのコストがかかるとお考え?とか、街を空にしてやってたり、いろいろ開催コストもかかるけどそれは?ていうか街も壊れてるけどそれは?もっというと空母の運営費は?もっともっというとそんなお金かけてまで空母にする意味は?などなど芋づる式にどんどん湧き出てくる。

謎の危機としてあった文科省担当者にキャラがついたのもいけない。いろいろ突っ込まれてあたふたしながらもとりあえず潰したいという意向だけはあるという謎。最後まで彼がこだわる理由は示されない。そんなに軽いキャラの一存のためだけにこれだけ話続けたの?とアホらしくなる。

オールスターをやりたいがための理由なら他にどうにでもなるでしょう。今度は大洗だけでなく、高校全体の問題として、戦車道自体を無くしたい。それを回避するためには代表校にレベルを示すようななにかを見せてもらわないといけない、とか。最悪、撤回じゃなくて、担当者は深く感動して存続に向けて動いたのだけど、最後の最後にもっと上からもう一つ上の実績を求められたとか、担当者も一丸になって事にあたるでもいい。なのに、よりにもよって最悪の、というか思いつきもしなかったような酷い理由をでっちあげてきたもんだ。悪手にもほどがある。まさか田舎の生活を描きたかったから?あそこタマフルでも言ってたけど、苦痛なほどにつまらないよ?

その無茶をしてしまったのに端を発して、他にもいろいろ。

レギュレーション問題

テレビシリーズのときからレギュレーション、特に台数は怪しくて、じゃあ単純に大洗8台に対して100台もってきてもいいわけ?フラッグ戦とはいえ、その台数でフラッグ車を囲むように守ったらノーチャンスでしょ?また、白旗の基準もよくわからないというか、当たるだけじゃダメで致命傷じゃないといけないというのなら、口径の問題は大きいでしょう。アンツィオなんて勝てるわけないでしょ。戦車道って剣道とかそういう扱いなんでしょ?じゃちゃんとしなきゃダメじゃん。

まあ、それはテレビシリーズではよかった、というかごまかし通した。でもここにきて30対8だけど殲滅戦ですなんていわれたらおいおいおいおいおいおいってなるじゃない。他の高校が助けに来てくれる以外ではそこから先の作劇のしようがない=カタルシスにならないじゃない。どうにかなる可能性も0ではないけどさすがきつい、っていう状況だから活きるメソドでしょそれ。これもテレビシリーズにまでダメ出しが及ぶ悪手。

ソ連軍オマージュ

別に死ぬわけじゃないっていうか、死なないっていうのをすごく大きな幹に据えて、それで成り立たせてる感動もある代わりに、このメソドは諦めるべきでしょ。死が前提にあれば泣けるところだけど、死なない前提だからただのショートコントにしか見えない。しかもどうしてもとそれをやるならカチューシャは単騎でも獅子奮迅の活躍をするとか、犠牲になった甲斐があったという明確な描写が必要だったはずなのにそれがなかった。

日本軍オマージュ

命令には絶対服従が日本軍人でしょ。退却を突撃と勘違いするというのはまだ笑えたけど、作戦上の撤退(日本軍なら転進というでしょ。あとでは言うけど別に成長してとかではないし)命令を無視して突撃したがるのは笑えない。「でも、であります」などという言葉はないはず。あとしつこい。

新キャラ

フィンランド軍である継続高校は誰なんだよ。フィンランドだからスナフキン風不思議ちゃんってのはまあいいよ。でもお前らが合流してくれる理由はなんなのさ。誰だかもわからんのに大洗に思い入れる理由なんかもっとわからんから、合流してくれるのだって、ああ、まあ、ストーリー上の要請、つまりご都合ですよねとしか思えない。

新キャラってのとはまた違うけど、アンツィオを既存キャラ扱いとするってことはOVAまで観てる前提だよね?冒頭に3分の説明映像をいれるとかしてるけど、一見さんに向けてるのか既存ファンに向けてやってるのか、ちょうどいいところを狙ったようで、ぶれているという感想になってしまった。

そしてなにより大学選抜チーム。それなりに尺を割いた島田すら何が天才なのか、単騎の操縦なのか戦術なのかがわからないし、ボコが好きとかいうのも最後まで大して活きない(ていうかボコ自体まったく不要)。そのチームメイトに至っては完全な空気で誰が誰なのかもわからないレベルだった。ライバル、ラスボスがそれで盛り上がれってのは少々厳しくはないですかね。

とはいえ

よいとした戦車戦が殆どの映画だし、脚本をガン無視して、劇場の大音量でならもう一回観たいと思うぐらいには気に入っている。ひとつ贅沢をいうならBT-42とカール、あとカルロヴェローチェ以外戦車(?)の特徴が見えなかったのが残念かなー。

追記

roberto.hatenablog.com