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007 スペクター

キングスマンをよくないとしたことの説明が大体この映画でつく。一言で言ってしまえば、荒唐無稽は真顔でやるもんだということ。

あの模倣犯オマージュをおもしろいと感じる向きはもう全然映画の楽しみ方が違うので、これから先のことはなんの共感もないと思うのだけど、スペクターもキングスマンも荒唐無稽の程度はそう変わらない。何か、本人的には良かれと思っていることをする悪役がいて、それに対し超人的な能力を持つスパイとその属する組織が、現代科学では考えられないようなひみつ道具を駆使して戦うという点においてはまったく同じといってもいい。スパイ物の基本。

で、その荒唐無稽がアホらしいとなるのか、いいぞもっとやれになるのかの違いはどこに出てくるのか。漫才で考えてみるといいかもしれない。今面白いことやってますよーって笑いながらやるのと、真顔でおかしなことを言っているのの違い。例外は否定しないまでもおもしろいのは後者ではなかろうか。

だからB級ですよっていう顔でB級やられると笑えないのです。タランティーノだって、基本真顔でしょう?

マッドマックス4もそう。ガソリンが貴重って言ってるのに無駄に火炎巻き上げるアホらしさは、がっつり作りんこんだ世界観の中にあってこそ、初めてケレン味として活きる。

キングスマンはそこが嫌だった。ふざけてます!パロディやってます!って後半部分はもう鼻白むの例文に使えるほど。(だから、端からそのつもりで観に来た人には良かったのだと思うけれど)

その点、これは終始真顔。演技はもちろん、冒頭のメキシコのお祭りや、某所のホテルでの幻想的とまでいえる美しさなどain't no joke。MI6もしっかりした組織だし、ひみつ道具の不整合もなく、ど直球。安心して荒唐無稽を楽しめる。

まあ、それはシリーズ物の強みでもあるんだけど、だからこそキングスマンは彼を殺しちゃいけなかった。

言ってしまうと、スパイ物自体そこまで興味なくて、007も観たことないの沢山あるし、MIは1作目だけ。そういう意味ではお客さんじゃないのかもしれないけど、それでもこれは楽しめました。

ちなみに連れはもっと疎くて、(所謂)初代ボンドカーの意味するところや、ふさわしくない某所でマティーニを注文する件がちょっとした笑いどころであることなどはわからなかったようだけど、それでもおれがキングスマンをダメだとしたことの意味は伝わったようで、これに比べたらと言ってくれた。うれしい。

なお、可愛いQが更に、準主役級に活躍するので、お好きな方はそれだけでもオススメですよ。それとマニーペニーが創りだすライトスタッフ感もスカイフォールより出ててよかったなあ。