恋は雨上がりのように/眉月じゅん
いろんな意味で評判だったので既刊分を一気に読んでみた。ちょっとしたことでファミレスの店長45歳バツイチを好きになってしまった誰がどう見ても文句なくかわいい女子高生という話。
これ、特に取り柄はないけど、実は素敵なことも知ってて、優しいのがいいところ、みたいに自己分析している中年オタクのファンタジーとして見るとなかなか気持ち悪い。ただのファンタジーとしてだけ見るぶんにはいいけど、1%でもなにかを期待するようになっちゃダメなやつ。
しかし、中年主人公にでなく、周りの若者を含めて客観視してみると少しわかる。もしかしたらあなたの周りにもいたかもしれない、好意をよせているのだけど、意味のわからない、非現実的な相手にいれこんでこっちを見てくれない人。同僚女子に惚れているのに相手が不倫中とか、女子中学生が好きな先輩は近所の、もうOLになっている幼なじみのことしか見てない、とかそういうの。そのひとつと考えられなくもない。
ただ、それにはかわいい女子高生あきらを好きな同級生吉澤をただのバカ男子(特に悪い意味ではない)に書いていて、そっちの気持ちを慮る気がしないような作りになっているのはちょっと違うかなあと思う。そういう意味では何を考えているのかよくわからない大学生男子加瀬が話を動かしてくれることを期待する。
でも、その加瀬の押しであきらが関係をもっちゃって、後悔しつつ、みたいなのだとチープだよなあとも思い、あんまりいい落とし所が想像できない。もちろん想像できなかったようなおもしろい展開になることを望むものだけど。一応、別れた奥さんとの話が伏線ぽく散りばめられているので、そっちがうまく機能してくれたらいいなあ。
絵は達者で、あきらは本当にかわいく描けているので、今のところ楽しいのだけど、なんとなくぐちゃぐちゃ伸びていくような気がして、あまり入れ込む気もしないのが正直なところ。多分脱落はしない。
作者は女性なのですかね。もしそれでこの中年オタクの願望をくすぐるようなこれ描いてるとするとちょっとこわいなあ。