子供はわかってあげない/田島列島

タイトルと表紙のイメージから児童を扱ったファンタジー系の話かと思っていたのだけど、多分親に対しての子供ってな意味で、主要登場人物は中学生。この絵にしてファンタジー臭は殆どなく、現実的な事件と個人的事情が絡んでくるっていう意味で、この前の経堂龍之介の転職と同じような作り。この辺、アフタヌーンじゃなくてモーニングって感じ。

 メインテーマは家族かな、と思う。登場人物はそれぞれちょっとだけ特殊な、いうても珍しいっていうほどでもない家庭の事情を抱えている。それが、一見関係ない事件を中心に、何が変わるというというより、その見え方が変わるみたいな話。その関係性はひとつじゃなく、沢山あって、それぞれ興味深いし、落とし所もあたたかみがあってよい。話の組立て技術も達者で、伏線が回収される件が気持ちいい。

さらに、これは筋にはあまり関係がないのだけどどストレートな「好き」っていうセリフがこんなに響いた作品もなかなかないのではないかな。ぐっときた。いいジュブナイルだ。惚れた腫れただけじゃない愛を感じる。

短すぎず長すぎずでちょうどいいし、2冊なら大した出費でもないので家族物、探偵物がお好きなら読んでみてはいかがかしら。

それにしてもモーニング読んでるのに飛ばしてるんだねー。