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日本のギターヒーロー

音楽

トピック「ギタリスト」について

ギターが音楽の全てではもちろん全然ないのだけど、自分がギターかっこいいってギターを始めて、それをどこかベースにしながら音楽を聴いてきているので、今、うわ、あんなふうに弾けたらかっこいいだろうな!弾きたい!って思わせるようなギターヒーローが2000年代に入ってあまり出てこないことが寂しい。

じゃあお前にとってギターヒーローって誰のことだよ、ってのがこのエントリーの幹です。ちなみにあえて日本に限っているけれど、外国勢はまた別の機会に。

そして、とりあえずギターヒーローの定義を簡単にはコピーできない技術と、一発でそれとわかる音、フレーズを持っている人ってことにしておきます。

布袋寅泰

おれは布袋寅泰に憧れてギターを始めたので、ギターヒーローといったらまず彼。よく4人編成とは思えないほどの厚みを与えるそのプレーに対して千手観音のようなといった比喩が使われていたのだけど、実はそれはあまり適当ではなく、スタイル的には実にオーソドックスなomit3が基本で、それプラスコードをそのまま分解したアルペジオと、カッティング。そのボイシングにも特に目立ったところはなく、音の厚みみたいなものは特にクリーントーンで深めにコーラスがかかることによるもので、PERSONZの本田毅なんかもその系統。布袋に独特ってわけではないと思う。どちらかというと時代の音。

ソロにしてもそう。これみよがしなところがなく、歌ありきでまとめつつ、要所で速弾き(いうても今の基準でいえば遅いし簡単)やアーミングを絡めるだけ。なんだけど、そのオーソドックスなんだけど幅があるプレイスタイルはコピーするのが楽しく、布袋弾いてりゃ大概のプレイはできるようになるといった、お手本的存在として理想的だった。HOTEIから始められて本当によかったと思う。


BOØWY「季節が君だけを変える」(1987年12月 渋谷公会堂) - YouTube

いまみちともたか

いまさはここに挙げるぐらいだから優れたギタリストなのだけど、それよりも作曲家で、歌詞、コード、メロディーと同時にフレーズも作られるようなイメージがある。だから、多分だけど、フリーセッションとかでおもしろいタイプではないのではと思う。即興よりも作りこんだものでこそ力を発揮するのかなーと。

例として下の動画を見て欲しいのだけど、このイントロは1弦開放をベース音にして2弦以降のハイポジションでEmを奏でるというちょっとした変わり種。これが聴いてるだけじゃわからなかった。こういうメロディアスかつ主線に触れないフレージングが本当にいまさは素晴らしい。だけどあんまり評価されてないのよね。


BARBEE BOYS はちあわせのメッカ - YouTube

松本孝弘

初期はYAMAHAのエンドーサーで、シングルコイルのオリジナルモデルでチャカチャカクリーントーンのカッティングをメインにしており、これはTMで聴けるようなスタジオミュージシャン時代の延長線上。対して愛のままにから現在まではアマチュアが似たような音を出すのは金銭的にムリという作りこまれたディストーションサウンド。ギターヒーローって文脈ならもちろん後者で。イメージとしてはカラッと明るく、技術的にはオールマイティオーソドックス、どんなんでも弾ける。スタジオミュージシャン出身でそんなこというと、じゃあ味がないかなんて思われるかもしれないけどそんなこともなく、MステのオープニングSEなんてそうと言われなくても明らかにってぐらいTAKサウンドだし、前述の愛のままにのど頭のチャカチャカチャカチャカってのは彼固有のものだと思う。

ただ、TAKはコピーがしにくい。というのは、これは推測だけど、作曲法によるもので、稲葉の声の美味しいところを使うことを優先して先にサビからキーを決めるのだと思う。その結果、多くのギタリスト作曲家がE、A、D、Gといったキーで、要は開放弦を使いやすいように作曲するのに対し、C#とかめんどくさいことこの上ないのを平気で選んでくるところにある。移調してみたらなんてことない曲もそのせいでやっかいなのが、キッズに優しくない。


B'z / ギリギリchop - YouTube

橘高文彦

よくニコ動とかで筋少の曲が貼られると、イングウェイかよといったコメントが出てきますが、それは正しくないです。彼はかなり若くしてデビューしたので、ほぼ完全に同時代の人。アルージュの曲なんか聴くとそこからしてもう様式美速弾き野郎なのです。曰く、イングウェイはライバル。

橘高様の特色はクラシックを基調とした速弾きのソロを、基本フルピッキングでこなすこと。その際スウィープは用いない。アーミング、タッピングも一切しない。これでえげつないのは、ストレッチとスキッピングはめちゃくちゃ多用するところ。イワンのばかのイントロはこの速度でこのストレッチなので、耳コピを試みたとき、フレーズ的にはこうっぽいんだけど、無理がありすぎるから違うだろうと思ったぐらい。とにかく一言でいって超絶技巧なんだけど、ピッキングハーモニクスを多用するなど、右手での音色の幅も豊かなので冷たい感じもしない。

そして、異常にステージで映えます。衣装も異常だけど、動きも派手。ステージ上をくまなく走りまわり、金髪振り乱して、すきあらばギターをブンブン振り回す。とにかく色んな意味でこんなに派手なギタリストはちょっといません。


詩人オウムの世界 / 筋肉少女帯 - YouTube

 

浅井健一

ベンジーは技巧的に難しいことをするようなタイプではないので、他と比べるととりあえずのコピーはしやすいかと思います。特徴としてはミュートが深く、アタックの強いカッティングをすることぐらいか。これはブランキーの曲はもちろんだけど、椎名林檎罪と罰がわかりやすいかも。


Blankey Jet City ロメオ - YouTube

アベフトシ

アベは右手、と思われがちだけど、ここはあえて左手に着目します。実は、ベンジー同様、ミッシェルの曲を楽譜通りに弾くのはそんなに難しくない。ただ、あの感じを出すのはある意味超絶技巧。というのは、アベは6弦全部をまとめてかき鳴らす、フォークみたいなことを結構するのだけど、実際鳴らすのは2,3本。ということは残りをミュートをしないといけないのだけど、右手はあの早さでカッティングしながらなので掌は使えず、当然左手でやることになる。これがものすごく難しい。右手が力いっぱいだから左手のミュートにもそれなりの力加減が必要で、並みのフィンガリングでもそれを同時にって考えるとほぼ神業の域。流したけど6本全部弾くぐらいの勢いであの早さのカッティングってのも普通できない。単純な握力も結構いる。でもそれをしないとあの音にはならない。

あまりにも独特な音を出すので、バンドに入れるとなるとどうしても主軸にせざるをえない存在で、まったくつぶしがきかない。だからか、ミッシェル以降これといったメジャーな活動はしておらず、寂しい思いをしていたところに吉川晃司に請われてライブに参加したことがある。吉川晃司というキャラが強く、曲もキャッチーな人のもとでのアベは間違えようもなくアベなのだけど、主役はあくまで吉川晃司という、ある種理想的なスターとギターヒーローの関係を構築できていて、復活を期待させてくれるものだった。しかし、それが彼の最後になってしまった。

このおまけCDにはそのライブが収録されていて、どの曲がと教えてもらわなくてもどれがアベの演奏かは一聴瞭然。全アベファン必聴。奇しくもこの発売日がアベの命日という。

 

Double-edged sword(初回限定盤)

Double-edged sword(初回限定盤)

 


ミッシェル・ガン・エレファント - シャンデリヤ - YouTube


吉川晃司・アベフトシ / Crack - YouTube

TAKUYA

日本が生んだ変態なのにどポップという奇跡のギタリスト。あと10年練習しても橘高様やTAKのように綺麗には弾けないだろうと思うのだけど、TAKUYAの場合近づくこともない感じがある。ああなれないというか普通ああならない。所謂斜め上。どれだけのギタリストが彼を聴いてギター始めて挫折することになったのかと思うと泣ける。

縦横無尽に、ギターソロとまで言われるほど動きまわるフレーズ。そしてその大概がなんというか癖があって真似しづらい。フレージングが独特すぎる。ためたり突っ込んだりといったタイム感もいろいろで、これがプログレなら別にいうこともないんだけど、ポップソングだっていうんだからとんでもないバンドでした。

ちなみに、この小さな頃からは弾くのが簡単で、かつTAKUYA自身がもう二度とできないかもと言っていたぐらいの傑作アレンジです。


Judy And Mary 小さな頃から Warp Tour Final Live - YouTube

SUGIZOINORAN

レガート気味の速弾きができてアーミングなども派手、歪んだともすればメタル的とも言えるような杉様と、クリーントーンでのアルペジオで曲に彩りを加えるINORANの対極的な二人で、どっちを弾くのも楽しい。

実際、ある時期世界で一番売れていたギターはESPのINORANモデルだったという話があるぐらい、彼らでギターを始めた少年少女は沢山いた。

ただ、どっちも弾くのは楽しいんだけど、これ二人合わさらないと曲としての体をなさないことが結構あって、一人でやるにはいまいちなことも。だからおれはいいとこどりのハイブリッドなアレンジにして弾いてたけど、やっぱりこれはギターヒーローを語る上ではちょっと特殊かもね。ヒーローったら杉様なんだけど、二人で三人分みたいな。

 


1993/04/21 「ANUBIS」 LUNA SEA - YouTube

ここまでが90年代の主だったギターヒーローで、これ以降あまりそういうのが出てこなくなる、というか、ギタリストというものがシーンの中で目立つ存在じゃなくなる。ソロを弾くなんてダサいみたいな風潮すら。横山健が単純にバンドって、ギターってカッコいい!って思ってもらうことを目指してMステに出たけど、多分同じことを感じているんじゃないかと思う。

とはいえゼロではもちろんないので二人ほど。

MIYAVI

セミホロウのギターをスラップするというかなり珍しいスタイル。聴いた瞬間のなんじゃこりゃあというインパクトという意味では文句なくギターヒーロー。ルックスも派手でよい。

しかし、難点として、歌との馴染みがよくないというのがある。和田アキ子と古い日記を一緒に演奏した時などは非常にカッコよかったので、できないわけではないのだろうけど、今は歌はギターの添え物という印象。ライブもボボのドラムだけをサポートにしているあたり、しばらくはこれでやっていくのだと思うけど、個人的にはベースも加わった、メロディーのある曲でどうギターを活かしていくのかに興味がある。

あと、それっぽいことをするためにセミホロウ、もしくはエレアコがいるというのもちょっとギター少年少女にはハードルが高いのよね。エレキじゃああはならないし、普通のアコギであのフィンガリングってのも初心者にはムリ。ていうかなんにしてもムリ。


MIYAVI WHAT’S MY NAME? - 30th B-DAY LIVE ...

マツキ タイジロウ

2015年9月現在おそらく唯一の会って握れるギターヒーロー

流麗なカッティングメインだけど、おかずがいちいち小粋。ボイシングも感心する。そして、そういうこと全部忘れるほどガンガンもっていくグルーヴが最大の売り。実はブラックミュージックが得意ではないのだけど、そういう向きにも響きやすいポピュラリティがある。こういうギタリストというかバンド自体あまりいない。

ただ、ギターヒーローというにはあまりにもバンド自体が売れていない。本当は彼とMIYAVIがヒットチャートにいるようなら満足とはいかないまでも悪くはないんですよ。ただ、いかんせんスクービーは売れない。なんでかちっともわからない。演奏と歌が上手い。見てくれがカッコいいのもおもしろいのもいて、スーツで決めた衣装も映える。思わず踊りだしちゃうようなノリの良い曲から聴かせるバラードまである。駄曲率はとても低いし、リリースペースもいい。全国回りまくるライブはMCのおもしろさ熱さもあって大変に楽しい。これ以上なにをしたらいいのか(脱線した


茜色が燃えるとき - Scoobie Do - YouTube

とりあえずこれだけ書ければ満足。今には今のシーンがあるので昔の方がよかったとはいえないと思うけど、ギターヒーローっていったら需要がないのもあってなかなか。9mmとかワンオクとか時雨なんかはいい線なんだけど、ギタリストとしてのエゴを感じないんですよねー。もうひとつ特色が薄い。

そんなところで。